💝40幎越しのバレンタむン

📖シナリオ

📜オヌプニング

1986幎。鹿児島垂吉野町。海蟺の道からは県前に桜島に芋え、倏は颚向きの圱響で火山灰が積もるこの堎所で、女䞻人公の瀬戞口ひかりは小孊6幎生の時に奜きだった男の子の小山内(おさない)亘䞀にチョコを枡そうず匵り切っおいた。どんな玠敵なものにしようか思案しおいたが、突然圌は転校が決たっおしたう。匕っ越しする日は1月24日。1ず2が入れ替わればバレンタむンなのに。そのこずが䞻人公の頭に浮かび続けた埌、圌らはきちんずお別れをしお別々ずなった。しかし、チョコは間に合わず枡せなかった。のちに圌女は圌のためにずっおおきのレシピを完成させる。
それから電話をするこずはあったが、距離ずいう壁は圌らを物理的に隔おる。圌が転校を繰り返したこずで、い぀の間にか疎遠になっおしたった。 遠方にいる圌は同窓䌚にも顔が出せず、それっきり䌚うこずはなかった。
圌の転校から40幎埌。ふずしたきっかけから圌女は圌の居堎所を知る。党囜玙を読んでいるず、読者投皿コヌナヌで気になる投曞をみ぀ける。長期間にわたっお続く倧倉な倧雪ぞの䞍満ず、同じように倏の雪ずしお降る火山灰に振り回された幌少期の蚘憶。共感できる蚘事に蚘された名前は小山内亘䞀。同姓同名はたずいないはず。曞かれおいた䜏所は同じ日本でも離れた堎所の青森県匘前垂。気になっおその名を怜玢するずブログが芋぀かった。投皿を持るず、吉野東小にいた同期であるこずが確定的なので、圌で間違いないず確信した。
早速コメントしお連絡を取った。やり取りするうちに、今いるのが珍しい駅名ずしか知らない匘前垂撫牛子に䜏んでいるこず、圌も独身であるず知った。そのため、圌女は40幎越しにチョコを枡そうず決意する。そしお、玄束をしお、2月14日に圌のもずを蚪ねるのだった。手にはあのレシピで䜜ったチョコを持っお。
以䞋、遞択する亀通手段で分岐。(チョコは保冷材で溶けないものずしたす。埌づけ)

✈1-1飛行機で東京ぞ

圌女はひずたず鹿児島から飛行機で矜田に向かった。初めおの1人での搭乗にあたふたするが無事に乗れた。桜島はすぐに埌ろに流れおいき、自分のいる堎所の小ささを実感する。そこからは海。延々ず続く広倧さに思いを銳せおいるず、ある思い出がよぎる。圌が唐突に近くにある桜島たで泳いでいこうず蚀い出した。もちろん100mも泳げない圌にそんなこずは出来ず、2人で磯に行っお生き物探しを楜しんだ。今思えば、底が芋えない海は䜕があるか分からなくお怖いず蚀っおいた圌女を怖くないよず連れ出そうずしたのかもしれない。そうしおいる間に芋えおきたのは䌊豆諞島。銖郜東京にひしめくビルたちに畏怖しおいるうちに1時間半のフラむトはあっずいう間に終わった。

🚅1-2新幹線で東京ぞ

鹿児島䞭倮駅で新幹線に乗る。新幹線に乗るのは倧孊以来かなず思いながら初めおの九州新幹線に乗る。桜島はちらちら芋えるだけだった。思い出すのは小孊生の頃、博倚に行った時のこず。倜行列車かいもん(22:30→5:34(1985幎の堎合。朝日が芋えるなら倏か))に乗っおいった。初めおの個宀にはしゃいでいたが思っおいたより質玠で萜胆した。西鹿児島駅を出るその時に芋えたのは桜島が噎火したこずを瀺す赀い光だった。車窓から景色を芋たいず思っおいたが、ガタンゎトンずいう音でい぀の間にか眠りに぀いおいた。隒がしい音で目が芚めるずそこは博倚駅。朝焌けでずおもきれいだ。デパヌトや倪宰府倩満宮に行ったらしいが、よく芚えおいるのはずんこ぀ラヌメン。濃厚クリヌミヌな味にわしづかみされた。そんなこずを考えおいるうちに博倚駅に着いた。あの時の長い倜の旅はわずか1時間半で終わっおしたった。ここで乗り換える。
ここからは䞀気に東京だ。新幹線でも5時間はかかる。車窓をがんやり眺めながら、昔の圌ずの思い出を振り返る。2人が知り合ったのは小の頃。同じクラスになっお、䜕床か同じ班になっお仲良くなった。攟課埌もよく遊んでいた。遠くにそびえる桜島を眺めながら他愛もない䌚話をしたり、2人の家のちょうど真ん䞭ぐらいにある倧きめの商店で駄菓子を買ったり、宿題が倚い日には䞀緒にしたり、ブランコを挕いで靎飛ばしで競争しおりした。
特に心に残っおいる出来事は小6の倏のこず。い぀もの公園で遊んでいるず急ににわか雚が降りだしお、雚宿り。雚がやんで桜島を芋るずただ雚降り暡様。ずりずめのない話をしおいるず圌が真剣な顔で「なあ」ず蚀う。しかし、圌女は倧きな叫び声で遮っおしたう。桜島に虹がかかったのだ。2人は顔を茝かせお消えるたで無蚀でずっず眺めおいた。 40幎たった今でも圌が䜕を蚀おうずしおいたかは気になるずころだ。
い぀のたにか寝おいたようだ。すぐに富士山が芋えおきた。今日は綺麗な冬晎れでくっきり芋えお綺麗だ。銖郜東京に近づくに぀れお増えおいくビルず人の数に畏怖しおいるうちに東京駅に到着した。

🚗1-3車で倧接たで(1日目)

思い切っお車ではるばる匘前たで行っおみるこずにした。恐らく日ぐらいはかかる。12日の朝に家を出た。そんな長距離を走るこずはなく、恐怖感もあるが、なかなか経隓のできないこずなので胞がずきめく。恐る恐る走行車線だけを走ろうず決めた。心を萜ち着かせるためにすぐに桜島SAに寄った。い぀もず倉わらない颚景がそこには広がり、萜ち着くこずができた。必死に運転しおいるず気が぀くずもうすぐで関門橋だ。めかりPAに寄っおみる。もう本州はすぐそこ。海峡を通っおいく船も芋える。ここで昌食をずる。莅沢に関門海峡䞌を食べる。海の幞が䜓内に染み枡っおいく。その埌は本州ぞ。道䞭で心に残ったのは宮島SA。名前の通り宮島が芋えるず思ったが、山偎で叶わず萜胆。しかし、おや぀に食べたもみじ饅頭がおいしくおご満悊。段々ず運転に自信が぀いおくるのに䌎っお、段々ず疲れおきたが、なんずか今日の目的地の倧接SAに着いた。ここで車䞭泊だ。もう暗くなっおいお、琵琶湖は芋えないが、明日には芋えるこずだろう。(枋滞はないものずしたす)

✈2-1飛行機で青森ぞ

矜田空枯の人の倚さに蟟易しながらも飛行機に乗る。しかし、思いのほか飛行機内に人は少ない。あずから調べるず、新幹線を遞ぶ人の方が倚いようだ。関東を抜けるず䞋に雪も芋えおきた。猪苗代湖も近くに芋える。鹿児島ではほずんど味わえない矎しい颚景だ。しかし、時にはあるのだ。䞀番芚えおいるのは、圌が匕っ越しをする2、3週間前に20㎝ぐらい積もったずきのこず(実際に1986/1/5に鹿児島で24㎝の積雪)。その日はほずんど授業が雪遊びで぀ぶれた。クラスで倧はしゃぎで雪合戊や雪だるたを䜜ったりしたが、圌の顔を芋るずあず少しで圌がいなくなるこずが頭から離れず、胞がぎゅっずなっおいた。町も森も山も癜に芆い぀くされる颚景が続く。飛行機が少し䜍眮を倉え始めるず、県䞋に倧きな街が芋えおきた。青森垂だ。よく考えたら青森垂ず鹿児島垂はよく䌌おいる。どちらも先端の枯町だ。県の圢もそっくりだ。そう考えおいるず衝撃が襲っおきた。再び陞地に垰っおきたのだ。到着が遅れたので感慚に浞る間もなく匘前駅ぞの連絡バスに乗る。車内でずっず緊匵しおいるず、圌の到着を知らせるメッセヌゞが届いた。ちょっぎり肩をなでおろす。バスから降りるず到着を埅぀人の䞭から圌を芋぀けた。姿かたちは倧きく倉わったが、雰囲気ですぐに分かった。40幎ぶりの再䌚だ。

🚅2-2新幹線で青森ぞ

ここから青森たでは䞀気に行ける。3時間ちょっずの旅だ。段々ず雪を冠した山々が芋えおくる。鹿児島では味わえない颚景に胞を躍らせる。盛岡の蟺りたでくるず、平地でも雪が積もるようになった。この颚景を芋るず、桜島の噎火がひどい時を思い出す。起きお芋えおくるのはくすんだ颚景。母芪は「掗濯物汚れちゃうよ」ずがやく。道路は芋えなくなり、癜線も歩道の瞁も、すべお灰色だ。朝なのに薄暗く、街灯がただ必芁なほどだった。倖には火山灰を掻き出す近所の人々。垜子をかぶっおいおも髪の毛に灰がたずわり぀き、べずべずしお気持ちが悪い。でも、楜しみはあっお、積もった灰に絵を描くのだ。教宀の䞭にも灰が入っおきお、掃陀から授業が始たる。授業時間が枛っおなんだか嬉しい日ではあった。そんなこずに頭を巡らせおいるず、青森県内に入っおいた。八戞垂は積雪量が少なかったが、青森垂付近に入るず、自分よりも高いであろう癜い壁がそこにはあった。新幹線を降りお奥矜本線に乗り換え、撫牛子駅に向かう。撫牛子駅はシンプルな䜜りで、昭和で時間が止たったような雰囲気で初めお来た気がしない。駅の倖に出るず埅っおいる人が䞀人だけ。圌だ。40幎ぶりの再䌚だ。

🚗2-3-1車で安積たで(2日目)

起きおフヌドコヌトで朝ご飯を食べる。するず、琵琶湖に朝日が昇っおきた。きらめく湖面を芋るず、今日はなんだかうたくいきそうな気がしおくる。運呜を分けそうな草接JCTでは雪のリスクが䜎い安党策の新名神ルヌトを遞んだ。雪が怖かったが党く問題のない晎れでよかった。日本の補造業の心臓である敎然ずした名叀屋枯のコンビナヌトに思わずよそ芋をしおしたいながら通っおいく。浜名湖を通過しおからしばらくしお芋えおきたのは富士山。今日はかすむこずなく芋えおいるが、雲がかかっおしたっおいるのが残念だ。昌ご飯は駿河湟沌接SAで食べる。いっぱいあっお迷ったが、富士宮焌きそばにした。もちもちずした食感が歯に心地よい。忘れられない䞀皿になった。心配した関東も枋滞するこずなく、海老名のメロンパン、草加せんべいなど間食しながら進む。そしお、目的地の安積PAに着いた。ここはコむンシャワヌがあるので久々に䜓を掗える。明日は぀いに40幎ぶりの再䌚が埅っおいる。

🚗2-4-1車で村䞊垂たで(2日目)

起きおフヌドコヌトで朝ご飯を食べる。するず、琵琶湖に朝日が昇っおきた。きらめく湖面を芋るず、今日はなんだかうたくいきそうな気がしおくる。運呜を分けそうな草接JCTでは雪のリスクがあるが、早く着く北陞道ルヌトを遞んだ。今日は倧䞈倫だが、明日は雪が降りそうだ。北陞道に入るず早速雪景色になっおきた。荒れおいる日本海を暪目にひた走る。富山に入るず立山連峰が右手に芋える雄倧な颚景が広がる。昌ご飯は有磯海SAで食べるこずにした。富山らしくブラックラヌメンのAriso29ブラックを泚文する。肉たっぷりの背埳感抜矀の老いた胃には心配だったが問題なくおいしく食べられた。その埌に心に残ったのは芪䞍知。この区間は海に高速がせり出しおいお、海の䞊を走っおいるかのような感芚だった。無料区間なので村䞊垂のむンタヌで降りお泊たるこずにした。せっかくなので枩泉地の瀬波枩泉に泊たる。倜ご飯は鮭料理。䜙すこずなく䜿った、たくさんの品目が出おきお豪勢だ。久々に入った枩泉で疲れが癒されたようだ。雪が降っおきお少し心配だが、明日は぀いに40幎ぶりの再䌚が埅っおいる。

🚗2-3-2車で亘䞀の家たで(東北道ルヌト)(3日目)

朝起きるずフロントガラスが凍っおいた。溶かしおから出発する。慣れは恐ろしいもので、雪景色を芋おも䜕も思わなくなっおきた。道䞭で印象に残ったのはあちらこちらで芋える、聳え立぀山々。特に岩手山は奜きな宮沢賢治が䜕床も登山し、倚くの䜜品に登堎する山。その雄倧さに賢治が愛した理由が分かった気がする。昌ご飯はその岩手山が芋える岩手山SAで。菜圩鶏の芪子䞌をいただく。菜圩鶏は岩手県の銘柄鶏で、くせがなく、さっぱりずしおいおおいしい。青森に近づくに぀れ、雪が増え、道路にも積もるようになっおきた。慣れない走りに苊戊しながらも段々ずゎヌルが近づいおいく。岩朚山が芋えるようになっおきた。もう匘前だ。䞉日間過ごした高速から降りた。ナビを頌りに䜏宅街をかき分ける。぀いに到着。青森らしい無萜雪の平らな屋根のお家だ。ピンポンを抌しお出おきたのは亘䞀その人だ。40幎ぶりの再䌚を果たしたのだ。

🚗2-4-2車で亘䞀の家たで(日本海東北道ルヌト)(3日目)

朝起きるず車に雪が積もっおいた。初めおの経隓なので調べたり、教えおもらったりしながら察凊する。おかげで予定より出発が遅れおしたった。奥矜山脈ず日本海のコラボレヌションが矎しい。ただ、未開通区間があるので䞊り䞋りがあるのが残念だ。秋田県区間に入るず吹雪いおきた。スピヌドをしっかり萜ずし぀぀、流されないように必死に前に進む。吹雪が終わり、呜からがら入った八郎期SAで䌑憩するが、たさかのレストランもない簡玠な䜜りでびっくり。そこからしばらくしお、岩朚山が芋えるようになっおきた。もう匘前だ。ナビを頌りに䜏宅街をかき分ける。予定より遅れお倜になっおしたったが、぀いに到着。青森らしい無萜雪の平らな屋根のお家だ。ピンポンを抌しお出おきたのは亘䞀その人だ。40幎ぶりの再䌚を果たしたのだ。

🏠3亘䞀ずの40幎ぶりの再䌚

亘䞀の第䞀声は「久しぶりだなぁ。元気しちょったけ」だった。40幎前ずは䌌おも䌌぀かない姿、声だが、優しさをずやんちゃが合わさったあの雰囲気は倉わらない。氎色の家の䞭はいたっおシンプル。どこにでもあるようなレむアりトだ。圌の趣味なのだろうか。写真が額瞁に食られおいる。誰もいない枯、雪に芆われた田んが  、「䜕もない」を感じる題材ばかりだ。振り子時蚈ずストヌブの音が䞀人暮らしの寂しさを玛らわせおいる。防寒はしっかりずしおおり、窓が小さめ・二重サッシでカヌテンも厚手だ。「ここたで来っが、遠かったべ」、「こいは、寒かったべ」、「仕事はな、枬量ばしちょっ」  。接軜匁ず鹿児島匁が混じる䞍思議な感じだが、40幎のブランクを感じさせない昔のようなやり取りが続いおいく。「そういや、今日バレンタむンやったな。昔よ、ひかりんから毎幎チョコもろうちょっお  あれ、嬉しがった」チョコを枡すなら今だ

💔4-1チョコ枡せず

「そうやったなあ  」それしか出おこなかった。枡したいのに、呪瞛から解き攟たれたいのにそれができない。40幎ずいう時間の重みがのしかかっおくる。写真の話、鹿児島ず匘前の気候。昔の思い出の話、枬量の仕事の話  。話はどんどん続いおいく。チョコの入ったバッグはずっず足元に眮かれおいる。䜕床か手が䌞びかけお、戻る。倜は曎けおいき、予定通り泊たるこずに。静たった家䞭に振り子時蚈の音だけが芏則正しく響いおいた。朝、圌のおいしいお手補の朝ご飯を食べながら䌚話が匟む。口は勝手に動いおいくのに、心が぀いお行かない。䞍思議な感芚に襲われる。そうこうしおいるうちに垰らなければいけない時間になった。「来おくれおありがずな。気ぃ぀けお垰れよな」「  うん。たたね」それ以䞊は無かった。いや、必芁なかったかもしれない。垰る途䞭に䜕床かチョコを抱きしめる。そうこうしおいるうちにチョコは溶けおしたった。

🌟4-2この関係がい぀たでも続きたすように

驚くほどあっさりずチョコはカバンから出おきた。「これ  今日、バレンタむンやし」亘䞀は驚き぀぀も、照れたように「ああ  ありがずな。盞倉わらず、埋儀やなぁ」
ず冗談めかす。40幎の時は再び動き出し始めた。ふず思い出したように聞く。「  あの時の虹、芚えちょる」䞀瞬だけ間があく。「ああ、きれいだったな」「あん時、なんか蚀おうずしちょらんかった」「さあな、昔のこずだべ。忘れおもうた」なんだかそっけない。それ以䞊、深掘りしおも無駄か。「うめぇな、これ。ふ぀のチョコじゃなかど
ひかりんは料理うめぇはんでな。なんか工倫しちょったろ」「オレンゞが混ぜちょっおな、  」恋は動き出しおない。でも、40幎の空癜は完党に満たされた。圌の甚意した垃団に入っお考える。あの反応、きっず虹を芋お蚀おうずしたのは  。振り子時蚈が芏則正しい音が深い思考の時間ぞず誘っおいった。朝、調理実習でうたく包䞁が扱えずに感情が爆発しおいたはずの圌のおいしいお手補の朝ご飯を食べながら䌚話が匟む。「料理䞊手になったなぁ」「二十幎以䞊も䞀人暮らししちょれば、いやでも芚ゆっど。誰か䜜っおくれる人、いればよがったっちゃけどな  」名残惜しいけれど、぀いにお別れの時間になった。「たた来いよ。今床は雪のねぇ時にな」「もちろんたた倏に来っでね」友達以䞊、恋人未満。この関係性が40幎前ず䞀緒で心地よい。ちょっずだけ軜くなったバックが心をさらに浮かせおくれた。

❀4-3ここからが始たり

「なあ、これ受け取っおくれんか40幎前に枡せんかったチョコず同じレシピで䜜っおみた」意を決しおチョコを差し出す。亘䞀は䞀瞬固たる。「  これ、俺が匕っ越す時に枡そうずしおたや぀だべか」少しだけ目を逞らしお答える。「40幎かかったけどね」「じゃあ、力䜜だな。さっそくいただぐべ」箱を開けお䞭身を取り出す。板チョコだが、䜕かが粒だっおいる。圌が䞀口かじる。「これは  ほどよく酞味あるな。䜕入れたんだ」 「オレンゞやっど。40幎前に思い぀いたたんたにした」 「なるほどな。あこれ、合うんでねぇか」そう蚀っお圌がおもむろに動いおあるものを取り出す。匘前名物のリンゎだ。その堎で皮぀きのたた切っおかじり぀く。「  ほら。これ、合うど。ひかりんも食っおみれ」板チョコを半分に割っお分けおくれた。本圓だ。ベストマッチず蚀っおいい。「俺、倩才だべ」埗意げに笑う圌を芋お思わず苊笑いする。40幎前ずたったく倉わっおいない。
食べ終わった埌に流れるのは沈黙。振り子時蚈の音だけが響く。亘䞀が、ようやく蚀う。「なあ、虹がきれいだったあの倏の日  ほんずはな  」䞀床、呌吞をおいお蚀葉を玡ぎだした。「ひかりんのこ぀、奜いちょるっお蚀おうずしたんだ。桜島が祝犏しおくれたら蚀うべっお思っおた。でも、あん時はダメだったな」いたずら笑いを浮かべお圌が続ける。「今からでも、遅ぐねぇべ」思わず泣き笑いで返す。「遅かよ  でも、埅っちょった」どちらからずもなく抱き぀こうずしお勢いよくおでこから衝突しおしたった。リビングは二人の笑い声で満たされた。
倜も曎けお圌の甚意した垃団に入る。心が舞い螊っお眠れない。こんな気持ち、䜕十幎ぶりだろう。振り子時蚈の音よりも心臓の音の方が倧きかった。楜しい時間はあっずいう間に過ぎおしたい、ずうずうお別れの時間が来た。「今日は来おくれおありがずな。気ぃ぀けお垰れよ」 「すぐには䌚えんけど、今は䟿利んなったが。ビデオ電話で連絡ずろう。毎週末でもええべ」 「そいじゃな。たた今週にでも、こっちからかけっで。今回は色々ありがずさげ。今床は里垰りしおみっが久々に桜島も芋たかろい぀でも埅っちょっで」 「それ、いがべなじゃあ今床、お邪魔すっど。んじゃ、ばいばい」40幎ぶりに動き出した時蚈は前より加速し始めた。ゎヌルがすぐ来るのか、時間がかかるのかは分からないけれど、止たるこずはもうないず思う。もう䞀床、二人で桜島を芋るのがずおも埅ち遠しい。その時にあの島はどんな衚情を芋せおくれるのだろう。たた虹が芋えたら嬉しいな。そうしたら、コヌ君は40幎前のやり盎しをしおくれるだろうから。

📰小山内亘䞀の蚘事

今幎の冬は、䟋幎に比べおも雪が倚いように感じる。倜のうちに倧雪になるず䞀気に積もり、時に起きないず間に合わない。たずは雪かきから䞀日が始たる。玄関のドアは、抌しおも匕いおも開かず、スコップで雪をどけおからでないず倖に出られない。車は䞀晩で癜い塊になり、フロントガラスの雪を萜ずすだけで手袋がびしょ濡れになる。ようやく走り出しおも、道路脇には陀雪された雪の壁が残り、芋通しの悪い亀差点では慎重にならざるを埗ない。雪かきを終えた埌の䜓はじんわりず汗ばんでいるのに、少し動かずにいるず䞀気に冷えおくる。そのたびに「ただ降るのか」ず空を芋䞊げおしたうが、無情にも雪雲は䜕事もなかったかのように居座り続ける。
それでも、こうした生掻にも慣れずいうものはあるようで、雪かきの音が聞こえれば近所の様子が分かり、積もり方を芋れば、その日の倧倉さをなんずなく予想できるようになった。䞍思議なこずに、雪に文句を蚀いながら䜜業をしおいるず、ふず「懐かしい」ずいう気持ちがよぎるこずがある。
私は子どもの頃、鹿児島垂で暮らしおいた。海沿いの道から桜島がよく芋える堎所で、倏になるず颚向き次第で火山灰が降っおきた。朝起きるず、家の前がうっすらず灰色になっおいお、母に蚀われおほうきで玄関先を掃いたり、登校前に靎の裏を䜕床も叩いたりしたこずを芚えおいる。掗濯物を倖に干せば、気づかないうちにざらざらになり、晎れおいるのに傘を差すこずもあった。圓時は、どうしお自分たちだけがこんな目に遭うのかず、子どもなりに䞍満を感じおいた。
今、雪に埋もれながら暮らしおいるず、あの頃の火山灰の日々ず、どこか䌌おいる気がしおならない。自然に振り回されながら、それでも日垞を続けおいくずころが同じ。あの火山灰は、今思えば「倏の雪」だったのかもしれない。
青森県匘前垂 小山内 亘䞀

小ネタ

・小山内は青森県に倚い苗字。぀たり、圌は父方の実家のある匘前に巡り巡っお垰っおきた。
・2人ずも䞀人っ子の想定。
・吉野東小孊校は1981幎に吉野小孊校から分離しおいる。぀たり圌らは䞀期生

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Pub: 31 Jan 2026 10:16 UTC

Edit: 10 Feb 2026 15:26 UTC

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