https://youtu.be/4gFxKiOGSDk?t=2868

茨城県東海村JCO 臨界事故 大内さんのケース

[47:55.000 --> 48:08.000] 1999年の930日に、茨城県東海村にJCOという核燃料を作る、加工する工場があって、そこで臨海事故という事故が起きたことがありました。
[48:08.000 --> 48:17.000] 皆さんもまだ覚えていられるかもしれませんが、その臨海事故という事故で被爆した労働者が3人いました。
[48:17.000 --> 48:24.000] 本当はたくさん被爆しているんですけれども、大量に被爆した労働者が3人でした。
[48:24.000 --> 48:35.000] そのうちの1人に大内さんという労働者がいたのですが、この大内さんの右手の写真です。
[48:35.000 --> 48:39.000] 被爆をして大内さんはその場で混濁しました。
[48:39.000 --> 48:46.000] すぐに救急車が飛んできて、大内さんを現場から連れてきて救急車に運びました。
[48:46.000 --> 48:54.000] どこに運んだかというと、茨城県内の一番大きな病院である国立水戸病院という病院にかつて行っていました。
[48:54.000 --> 49:03.000] しかし国立水戸病院は大内さんの診察を拒否しました。被爆者の診察はお断りというのです。
[49:03.000 --> 49:14.000] それで大内さんは仕方がなくてヘリコプターに乗せられて、千葉市にある放射線医学総合研究所という被爆治療の専門病院に活躍されました。
[49:14.000 --> 49:25.000] ところがその被爆治療の専門病院である放射線医学総合研究所が大内さんの治療を拒否した。
[49:25.000 --> 49:35.000] そして大内さんはどこに行ったかというと、日本の医学界が総出で大内さんを助けようとして東大病院に活躍されました。
[49:35.000 --> 49:41.000] 東大病院に活躍された時の大内さんのこれが右手の写真です。
[49:42.000 --> 49:46.000] 大内さんはここがいいように見えませんかね。
[49:46.000 --> 49:55.000] ちょっと赤く腫れもつかいですが、海で泳いで日焼けをしたという、その程度の手だった。
[49:55.000 --> 50:05.000] でもなんとなく日焼けをしているというのはどうしてかというと、放射線で被爆したから、放射線で焼かれたから。
[50:06.000 --> 50:10.000] 私たちが海で泳いで日焼けしたとは知りません。
[50:10.000 --> 50:17.000] 岩石場の漁師の人たちはたくさん日焼けをするだろうけれど、死なないですよね。
[50:17.000 --> 50:26.000] いっときにたくさん日焼けしたらほろほろ皮が剥けるかもしれないけれども、その下からまた新しい皮膚が再生してきて、私たちはちゃんと生活できる。
[50:26.000 --> 50:29.000] それが人間という生き物。
[50:29.000 --> 50:34.000] しかしこの大内さんの手は放射線で被爆をしている。
[50:35.000 --> 50:38.000] 焼け殻をしている。
[50:38.000 --> 50:41.000] そうするとどうなるのでしょうか。
[50:41.000 --> 50:46.000] 皆さん例えば病院でX線撮影というのを受けますね
[50:46.000 --> 50:53.000] そのときどうやって受けるかというと、撮影機の前に立って息を吸って止めて、あいばしゃっと行って撮るわけですね。
[50:53.000 --> 50:58.000] そのときに胸の前にあるのは写真看板です。写真のフィルムです。
[50:59.000 --> 51:03.000] 背中の方からX線を照射します
[51:03.000 --> 51:17.000] 私の背中の皮膚を貫いて、肉を貫いて、骨を一部止まって、そしてまた胸の前の皮膚を貫いて、写真のフィルムに私の体がどうなっているかということを印画する。
[51:17.000 --> 51:27.000] つまり放射線自身は私の体を裏から表まで突き抜けてずっと被爆をさせているということになります。
[51:28.000 --> 51:39.000] 大石さんのこの手ももちろんこっち肩も被爆をしているわけですし、肉だって骨だって、そして裏側の皮膚だってみんな被爆をしているわけです。
[51:39.000 --> 51:53.000] そしてこの表面の皮膚が被爆によってダメになった、ボロボロと例えば抜けたとするとどうなるかというと、この表面の下の皮膚だって放射線で被爆している。
[51:54.000 --> 52:02.000] それも要するに生きる力を失っている。結局どうなったかというと、大内さんの手はこうなりました。
[52:06.000 --> 52:16.000] 皮膚がこうなっているということは、体の内部が全部こうなっているということ。胃だって焼けたたれているし腸だって焼けたたれている。
[52:17.000 --> 52:31.000] どんどんどんどん下血をして血が失われていく。皮膚はこんなですから包帯でぐるぐる巻きにされているわけですけれども、その包帯は毎日ぐじゅぐじゅになってしまう。
[52:33.000 --> 52:44.000] 毎日10リッターを超える油血と油液を繰り返しながら、日本の医学界で、まあ総出で彼は当たりました。
[52:45.000 --> 52:54.000] しかしこんな姿で苦しみながら、結局大内さんは83日間生き延びましたけど、やっぱり死んでしまった。
[52:55.000 --> 52:58.000] 途中からはもちろん意識もありませんでした。
[53:00.000 --> 53:10.000] これは一番下にちょっと聞いてしまいましたが、NHK取材班が被爆治療83日間の記録という本を岩波書店から出してきました
[53:10.000 --> 53:22.000] その本から私はこうやって作ってきたわけですけれども、83日間の本当に言葉では尽くせないほどの悲惨な治療経過を書いてあります。
[53:23.000 --> 53:30.000] でも83日間大内さんが生きたということは、日本の医学界が総出で彼をそれだけ生きさせたということ?
[53:32.000 --> 53:37.000] もし日本の医学界が総出で彼を治療しなければ、おそらく2週間で大内さんは死んだと思います。
[53:38.000 --> 53:42.000] どちらが言い方かは分かりません。でもいずれにしても、総出します。
[53:43.000 --> 53:52.000] チェルノブイルの先ほど見ていただいた作業員、死んでしまった作業員もほとんど2週間でみんな命を失うとなりました。
[53:53.000 --> 53:58.000] これほど被爆というのはすごい被害を与えるわけです。
[54:00.000 --> 54:04.000] ここに一つちょっとした変わった文を書きました。
[54:05.000 --> 54:10.000] 左の方に赤いを見た数字が2から8まで並んでいます。
[54:11.000 --> 54:14.000] これは何を私は書いたかというと、こんなことを書きました。
[54:15.000 --> 54:20.000] この数値は全身の被爆線量です。グレーという単位で書いています。
[54:21.000 --> 54:33.000] 今皆さんはシーベルトというような単位を時々マスコミで聞くかもしれませんが、それと同じだと思っていただいて、基本的に2シーベルト、3シーベルトという単位です。
[54:34.000 --> 54:41.000] では上に0から050100と書いてあるこれは何かというと、急性死亡確率です。
[54:42.000 --> 54:51.000] つまり、2グレーという被爆をしてしまうと、2シーベルトというときにですが、死ぬ人が出始めます。
[54:52.000 --> 54:58.000] でも帯の幅が小さいですよね。だから何パーセントかの人が死に始めるということです。
[54:58.000 --> 55:12.000] 被爆量が多くなってきますと、赤い帯の幅がどんどん太くなってきているのはわかっていただけると思いますが、4グレーあるいは4シーベルトという被爆をすると、2人に1人は死にます。
[55:13.000 --> 55:20.000] 8シーベルトという被爆をすると、全員死んじゃう。
[55:21.000 --> 55:30.000] こういうことが放射線を使い始めてから100年間の歴史の中で科学的にわかってきた知識です。
[55:31.000 --> 55:38.000] 大内さんと篠原さん、そしてもう一人亡くなった篠原さんという人がいるんですが、
[55:39.000 --> 55:48.000] その人たちはどのくらいの被爆を、4グレーという被爆をすると半分の人が死ぬと私は言ったわけですが、
[55:48.000 --> 55:58.000] 被爆というのは放射線からエネルギーをもらうことをグレーという単位で測っているのですが、
[55:59.000 --> 56:04.000] 4グレーという被爆をしたところで私なら私の体温は千分の一度しか上がらないんです。
[56:05.000 --> 56:12.000] 皆さん風邪ひきますよね。私だって風邪ひく。病気になる。なれば体温が上がる。
[56:12.000 --> 56:17.000] 体温計で測って、もう37度になっちゃった。38度になっちゃった。
[56:18.000 --> 56:21.000] なんか体が悪いなというようなことはよくあることだと思います。
[56:22.000 --> 56:27.000] 体温が一度や二度上がるということはよくあることだろうけど、人間は死なない。
[56:28.000 --> 56:34.000] 安静にして栄養をとって、薬も飲むこともあるかもしれないけれど、
[56:35.000 --> 56:40.000] そんなことでは死なないというのが人間ですけれども、ことを放射線に被爆するときには、
[56:40.000 --> 56:44.000] 体温が千分の一度上がると二人に一人は死んじゃう。
[56:48.000 --> 56:51.000] 体温が千分の二度上がったら全員死ぬという。
[56:57.000 --> 57:04.000] JCOの事故で被爆した大内さんは18グレーとか10グレーとかいうぐらいの被爆をしている。
[57:05.000 --> 57:07.000] 到底助からない。
[57:08.000 --> 57:12.000] 放射線医学総合研究所が治療を拒否したと私はさっき言いましたけれども、
[57:13.000 --> 57:22.000] 放射線医学総合研究所に担い込まれて、放射線医学総合研究所が大内さんと篠原さんがどれだけ被爆をしたかということを評価したんですね。
[57:23.000 --> 57:28.000] そしたら18とか10とかいう数字が出てきてしまって、これはもう助けられない。
[57:29.000 --> 57:33.000] 放射線治療を専門としてやってきた自分たちには一番よくわかる。
[57:34.000 --> 57:39.000] どんなことをやっても彼らを助けることができないと言って治療を拒否した。
[57:40.000 --> 57:46.000] そして東大病院に駆け入ったけれども、やっぱり助けられないので死んでしまったということになった。
[57:47.000 --> 57:49.000] なんでそんなことになるの?
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Pub: 17 Mar 2023 13:49 UTC
Edit: 18 Mar 2023 02:24 UTC
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